夜想 特集:怪物・畸形 |
編集:今野裕一 発行:ペヨトル工房 価格:1,500円 |
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『夜想』は幻想文学色の強い、ある種まじめな本なので鬼畜でも悪趣味でもなんでもないんだけど、そこにある無気味な図版は、逆に静的な深刻さをもったコワさをあじあわせてくれる。
ところどころにフリークスの写真なんかが載ってたりして、それだけで文学者きどりの人種に悪趣味な本を買わせる隙をつくってしまったようでちょっと悔しいのだが、たいていの人は写真だけで満足して文章なんて読んでいないと思われる。はたして何人の読者がこの本の内容を理解しているんだろうか。 この『怪物・畸形』や『屍体』の号はかなりの部数が出たという話しなので、いかにみんなこわいものみたさだけでこういう本を買っているかがよくわかるってものである。 たとえばある章の冒頭に書かれている「本質的な頭の悪さを、エスプリとレトリックの派手派手しさで隠蔽する気配のある如何にもフランス的な知性」などという文章。よくわからないが、そのまんま「カッコばっかりつけてノータリンだってことをごまかしてるフランス人のような」とは書けないものだろうか。 |
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『夜想』のなかでもこの“怪物・畸形”は今でも難なく手に入れることができる。エキセントリックなデザインと幻想文学や歪んだ哲学に徹した紙面は異端で一般人には受入れ難いが、わかる人にはわかるらしい。ほかにも“特集/屍体”など鬼畜的要素を含むものが多数ある。 |
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1997/03 putdown |