死刑囚永山則夫 |
著者:佐木隆三 発行:講談社 価格:1,900円 |
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青森からの上京後ぷらぷらしていた少年永山則夫の人生は、横須賀の米軍基地に侵入して拳銃を手にいれたその瞬間からまるでレールの上を走るかのようにきまっていたのかも知れない。“連続射殺魔”として名を爆ぜ獄中での生活を余儀なくされたが、ほかの殺人者と違い永山則夫がどうしてここまで騒がれたかは、獄中で書いた『無知の涙』や『木橋』が社会的に作家として評価されたからにほかならない。 無差別的な連続射殺という病んだ心にすべての起因がある犯罪に、詩という表現方法はあまりにもわかりやすかったらしく、彼の本は話題を呼び牢獄の詩人へと転向。その収入を遺族達への慰謝料へ当てるなどの人格者ぶりも発揮したが、いくら償いをしてみても反省をしてみても、それがただの若気のいたりだったとしても殺人という過去の現実を消し去ることはできず死刑判決が下る。彼はそのお涙を頂戴してしまい「かわいそうに」と共感する人達の間で支持され、死刑制度問題から罪と罰への根本的な問題提起を残している。(追記:たしか1998年に死刑は執行された) |
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佐木隆三氏のノンフィクション・ノベル。日本の犯罪評論家としても知名度が高く、古くは「殺人百科」シリーズなどから最近では「宮崎勤裁判」や「オウムを読む」等100冊に及ぶ著書をもつ。 |
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1997/04 putdown |